寒い季節の定番料理「おでん」。
冷えた体を温め、家族や友人との団らんを楽しむ心温まる料理です。
最近では時短調理に便利な圧力鍋や電気圧力鍋でおでんを作る方も増えてきました。
しかし、圧力鍋での調理は通常の鍋とは異なる特徴があり、具材選びを誤ると失敗してしまうことも。
今回は、圧力鍋でおでんを作る際に避けるべき具材と、失敗しないためのコツを詳しくご紹介します。
圧力鍋でおでんを作る際の基本的な注意点
プレッシャークッカーこと圧力鍋は、100度以上の高温・高圧で調理できる便利な調理器具です。
通常の鍋では1時間以上かかる煮込み料理も、圧力鍋なら短時間で仕上げることができます。
しかし、この高温・高圧という特徴は、時として具材に悪影響を及ぼすことがあります。
特に柔らかい食材や水分を多く含む食材は、圧力をかけることで予期せぬ変化を起こすことも。
せっかくのおでんを台無しにしないためにも、具材選びは慎重に行う必要があります。
圧力鍋で避けるべき具材と対処法
1, 練り物(はんぺん、ちくわ、さつま揚げなど)
- 高圧で膨張して形が崩れやすい
- もともとの食感が失われる
- だしが濁る原因になる
高温・高圧の環境下で膨張し、せっかくの食感が失われてしまいます。
また、練り物から出る成分がだしを濁らせ、おでん全体の見た目も損なってしまいます。
これにより、練り物本来の美味しさを保ちながら、だしの味も程よく染み込みます。
2, じゃがいも
- 煮崩れが起きやすい
- ホクホク感が失われる
- 食感が水っぽくなりがち
その結果、煮崩れを起こしたり、水っぽい食感になったりしてしまいます。おでんの具材として大切なホクホク感も失われがちです。
これにより、程よい食感を保ちながら、だしの味もしっかりと染み込みます。
3, 餅巾着
- 中身が溶け出してしまう
- だしの味が変わってしまう
- 他の具材にも影響が出る
また、溶け出した餅が他の具材に付着して、食感を損ねることも。
こうすることで、餅巾着本来の美味しさを保ちながら、おでん全体の味わいも守ることができます。
圧力鍋との相性が抜群な具材
反対に、圧力鍋で調理することで格段に美味しく仕上がる具材もあります。
むしろ、これらの具材は圧力鍋で調理することをおすすめします。
1, 大根
- 15分程度で中までトロトロに
- だしがしっかり染み込む
- 切り方のコツ:厚さ3cm程度の輪切りにし、十字に切り込みを入れる
- 下茹でするとさらに良い仕上がりに
通常の鍋では1時間以上かかる調理時間が、圧力鍋なら15分程度で完了します。
十字の切り込みを入れることで、短時間でもしっかりとだしが染み込み、箸でほぐれるほどの柔らかさに。
下茹でを加えることで、アクが抜け、より上品な仕上がりになります。
2, こんにゃく
- 通常より短時間で味が染み込む
- 独特の食感が保たれる
- 下処理:沸騰したお湯でアク抜きをする
- おでん全体の味を引き締める効果も
高温・高圧の環境下でも、こんにゃく特有の歯ごたえは失われず、むしろだしの旨みをしっかりと吸収してくれます。
アク抜きをしっかりすることで、おでん全体の味わいがより引き締まり、上品な仕上がりになります。
おでんに欠かせない具材の一つと言えるでしょう。
3, 牛すじ
- 通常の3分の1程度の時間で柔らかく
- コラーゲンが溶け出してだしに旨みをプラス
- 下処理:軽く茹でて余分な脂を落とす
- 圧力調理で旨みを凝縮
通常なら3時間以上煮込む必要がある牛すじも、圧力鍋なら1時間程度でとろけるような食感に。
さらに、圧力調理によってコラーゲンが効率よく溶け出し、より濃厚なだしに仕上がります。
下処理で余分な脂を落とすことで、くどさのない上品な味わいを楽しめます。
4, ゆで卵
- 黄身まで味が均一に染み込む
- 好みの加減で調整可能
- たまごの臭みが消える
- だしの旨みをしっかり吸収
通常の調理法では、なかなか中心まで味が染み込まないゆで卵も、圧力鍋なら短時間で黄身までしっかりと味付けができます。
高温・高圧により、たまごの臭みも消え、だしの風味が強く感じられる仕上がりに。
半熟から固ゆでまで、好みの加減で調整できるのも魅力です。
失敗しないための調理手順
美味しいおでんを作るには、具材選びだけでなく、調理手順も重要です。
圧力鍋での調理を成功させるために、以下のポイントを押さえましょう。
基本の手順
1, だし汁作り
- 昆布とかつお節で基本のだしを取る
- 昆布は水から30分程度かける
- かつお節は沸騰直前に入れる
- だしが澄んでいるうちに具材を入れ始める
おでんの味の決め手はだし汁にあります。
昆布は水からじっくりと浸け、旨み成分を十分に引き出します。
かつお節は高温で長時間煮るとえぐみが出てしまうので、サッと取るのがコツです。
澄んだだし汁を作ることで、後から入れる具材にも良い影響を与えます。
2, 具材の投入順序
- まず固い食材(大根、牛すじなど)から
- 次に中程度の食材(こんにゃく、ゆで卵など)
- 圧力調理後に柔らかい食材を追加
- 最後に練り物類を入れる
具材の硬さによって調理時間が異なるため、投入順序を工夫することが大切です。
特に圧力鍋では、一度蓋を開けると圧力が抜けてしまうため、
同じ硬さの具材はまとめて調理するのがポイントです。
最初に固い食材を入れ、柔らかい食材は後から加えることで、
それぞれの食材が理想的な食感に仕上がります。
圧力鍋を安全に使うためのポイント
圧力鍋は便利な反面、使い方を誤ると危険を伴う可能性もあります。以下のポイントを必ず確認しましょう。
1, 使用前の確認事項
- パッキンの状態チェック
- 安全弁の動作確認
- 圧力ゲージの確認
- 蓋の密閉確認
圧力鍋を使う前には、必ず各部の状態をチェックします。
特にパッキンは消耗品なので、定期的な点検と交換が必要です。
安全弁やゲージが正常に機能することを確認し、蓋がしっかりと閉まることを確かめましょう。
これらの確認を習慣にすることで、安全な調理が可能になります。
2, 調理中の注意点
- 最大容量(通常8分目まで)を守る
- 火加減の調整を細かく行う
- 突沸に注意する
- 蓋を開ける時は完全に減圧してから
調理中は、具材と調味料を合わせて容量の8分目を超えないようにします。
圧力がかかると内容物が膨張するため、これ以上入れると危険です。
また、火加減は小まめに調整し、圧力が強くなりすぎないよう注意が必要です。
調理後は必ず圧力が完全に抜けてから蓋を開けるようにしましょう。
おでんの味を格上げするプロの技
せっかく圧力鍋で時短調理するなら、より美味しく仕上げたいですよね。
ここでは、おでんをワンランク上の味わいにする技をご紹介します。
1, だし汁へのこだわり
- 昆布は上質な物を選ぶ
- かつお節は新鮮な物を使用
- 煮干しを加えてコクを出す
- 一度冷まして味をなじませる
だし汁は、おでんの味を決める最も重要な要素です。
良質な昆布とかつお節を使うことで、深い旨みと上品な味わいが生まれます。
また、煮干しを加えることで、コクのある味わい深いだしに仕上がります。
時間に余裕があれば、一度冷ましてから再度温めることで、
より味がなじんだ本格的な味わいを楽しむことができます。
2, 具材の下処理
- 大根は皮付きのまま下茹で
- こんにゃくは必ずアク抜き
- 牛すじは余分な脂を落とす
- ゆで卵は殻にヒビを入れておく
下処理は手間がかかりますが、最終的な仕上がりを大きく左右する大切な工程です。
大根は皮付きのまま下茹ですることで、形が崩れにくく、味もしっかり染み込みます。
こんにゃくのアク抜きは、雑味を取り除き、だしの味を引き立てる効果があります。
3, 仕上げの工夫
- 練り物は最後に入れて風味を保つ
- 好みで薬味を添える
- 一度冷ましてから温め直す
仕上げの工夫次第で、おでんの完成度が大きく変わります。
練り物は最後に入れることで、本来の食感と風味を損なわずに楽しめます。
七味唐辛子や柚子胡椒、刻みネギなどの薬味を添えることで、味わいに変化をつけることもできます。
まとめ:失敗しない圧力鍋おでんのポイント
圧力鍋でおでんを作る際は、具材選びが最も重要です。
避けるべき具材をしっかり把握し、適切な調理手順を守ることで、時短かつ美味しいおでんが作れます。
ポイントをまとめると
- 練り物類は後から入れる
- 具材の特性を理解して調理時間を調整
- 安全な使用方法を守る
- だし作りにこだわる
寒い季節、家族や友人と一緒に温かいおでんを囲むのは格別な楽しみですよね。
この記事を参考に、ぜひ圧力鍋で美味しいおでんを作ってみてください。
失敗のない調理のコツを押さえれば、短時間でも本格的な味わいを楽しむことができます。